東海道「品川宿」と品川神社の「品川富士」を巡る(2/3)

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東海道「品川宿」と品川神社の「品川富士」を巡る(1/3)からのつづき

御殿山下砲台跡〜善福寺〜法善寺〜養願寺〜於春稲荷神社

御殿山砲台跡を背に八ツ山通りへ引き返し、台場横町を街道へまで戻るが、八ツ山通りと旧東海道を行き来する道はどれも坂道だ。当時は街道のすぐ際まで海が迫っていたので、高低差があるのだろう。利田神社のあたりと街道とでは2〜3m違う。

利田神社はもと洲崎弁天といわれ、東海寺の沢庵和尚が弁財天を勧請したのが始まりとされている。あの「問答河岸」の沢庵だ。しかも洲崎というだけあって砂州の先端にあった。

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赤丸の部分が洲崎神社(利田神社)『今昔東海道中独案内』p44

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名所江戸百景「品川すさき」

歌川広重の名所江戸百景に「品川すさき」という浮世絵があって、街道側から「すさき」つまり利田神社を描いた図がある。砂州にしてはかなり盛り上がっているが、当時の風景はまさにこうしたものだったのだろう。この絵図に関しては、そこにあってしかるべき御殿山の砲台が描かれていないといった謎があるようだが、目黒川が江戸湾に静かに注ぐ品川一帯を表現した絵として、また現在の品川との相違を見る上でとても興味深い。

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ということは、八ツ山通りは海の底だった?

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今は海抜1.8m

善福寺

台場横町から旧道へ戻り、星野金物店の手前を左に折れるとそこは善福寺だ。

本堂正面の上部に長八の作品がある

善福寺は幕末から明治期にかけて活躍した左官工である伊豆長八の「こて絵」があることで知られる。

長八は伊豆の松崎町出身で地元には「長八美術館」がある。西伊豆や松崎の町を訪れると、なまこ壁の土蔵が残っていて面白いと思っていたが、北品川へ来るまで長八は地元の職人なのだと思っていた。しかし松崎町によると、

左官の技術と日本画の狩野派の技法を取り入れた”漆喰鏝絵”という独自の分野を築き、芸術的に高く評価されています。

とされていて、左官職人というよりも工芸家あるいはアーティストであった。本名は入江長八。二十歳で上京して主に江戸で制作活動を行ったため、作品の大半が震災や戦火で失われてしまったという。今回は立ち寄っていないが、東品川の寄木神社にも作品がある。

これはよい方の「ふむふむ」。

法善寺・杉森稲荷神社

善福寺から黒門横町を夾んで街道を南へ下ると、法善寺と杉森稲荷神社がある。法善寺は明徳元年(1390)創建といわれる東海三十三観音のひとつ。

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本堂を正面から

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杉森稲荷は法善寺の境内の中にある

当寺には板碑が収められた建物や供養塔と品川区で最古の小学校「品川小学校発祥の地」碑がある。「ふむふむ」というべきストーリーがあるので、興味と関心のある方はGoogle先生にお尋ねを。

小泉長屋と於春稲荷神社

法善寺の脇の細い路地を抜けると「小泉長屋」と呼ばれる一角に出る。

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井戸が道の真ん中に!

「小泉長屋」は、寛延年間(1750年頃)に小泉屋金左衛門という人物がこのあたりの土地を購入し、貸し長屋を建てたことからそう呼ばれるようになったもの。その後住民が土地を買い取って自宅を建てたが、路地や区画は当時からあまり変わっていないのだという。

品川区のガイドだと、”このあたりでは、今でも井戸が活躍している”と説明されているが、予備知識なく歩いていたら道の真ん中に井戸があった。「え、品川に井戸?」という単純なびっくりが面白い。「まち歩きマップ」を開いてみると、ちゃんと小泉長屋と井戸のことが載っている。50円で購入して良かった。これも良い方の「ほほう」だ。

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いかにも大切にされているなあという佇まい

北品川公園という児童公園に沿って歩いていくと、こぢんまりした於春(おはる)稲荷神社がある。路地が狭いので写真を撮るなら広角レンズがほしいが、スマホしかないので無理して撮る。神社は火伏せの守り神として近隣の人々からとても大切にされているそうだ。神社の解説は赤いのぼり旗の向こう側に「於春(おはる)稲荷神社」と「旧小泉長屋」として表示板がある。

レンガの塀と養願寺
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突きあたりがレンガの塀

於春稲荷神社から路地を抜けると今度はいきなり長いレンガ塀につきあたる。正徳寺の塀なのだが、お寺とレンガの塀という組合せが珍しいように思う。このあたりは井戸といい、レンガの塀といい意外なモノが唐突に現れるので、歩いていて楽しい。「ほほう」でポイント1点ゲット。

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この辺りの路地は狭い

レンガ塀を回り込むと、春と秋には虚空蔵尊のお縁日で賑わう養願寺がある。当寺はこれから訪れる品川神社とともに東海七福神のひとつになっていて布袋様が祀られている。写真を1枚撮って路地を戻り北馬場通りへ。

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昔ながらの面影をのこした店も

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正面に見える鳥居の奥が品川神社の森

北馬場通りは品川神社の参道だ。第一京浜までまっすぐに延びている。「北馬場通り」と扁額に記された黒い鳥居と京急線の高架が見えたら目指す品川神社はすぐそこだ。

3/3へ続く